2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

<250>「その廻り」

よく殺到、盗賊の恐れ群れを成し、なしのつぶての好回廊。労働力不足の財産は明日に来し、軋るはずみの枝のその若葉。樺色の空に好しよく棟を見上げ、挙げ句の果ての横っ飛び二月。ツキのない人間に甚だしい大量の模造品用がなく、無くしても分からぬその有…

<249>「全身が砕かれることを意識した鳥」

全身が砕かれることを意識した鳥、そんなものは存在しないのか?予定以上の速さに乗って、何ともないことを疑いたい。不可思議と緊張、それが常日頃の面持ちであり、そこに最悪の想像の影はない。盛り上がりつつ彎曲する両翼の、視界は木の尖端を触れ、一枝…

<248>「招ばれていない人」

門を叩く。どうぞ、客であることを言わなければ、私は客ではないのだから。これから先も、これまでも主人が誰であるかということは言わなかった。招ばれてなくても来ることに何らの抵抗もない。むしろ驚きの表情の中には嬉しさが見え隠れして、何も出さない…

<247>「見ていないので」

どこを見ているか分からない視線のことを話そう。そんなに覗き込むものではない。こちらを見ているものがある、が、同時に、こちらを見ていないものがあると、何故だか見られているという感じがしない。むろん、それは見ている方でもそうだ。対象をしかと捉…

<246>「ただ悪であることを書くことは」

ただ悪であることは難しい。自分が悪だということを語り、恥じること、そうです俺は悪いんですと開き直ること、またそれを外から客観的に眺めて、今私がやっているように淡々と、恥じもせず開き直りもせず、悪について書いていくこと、こういうことの全ては…

<245>「想像していた現実と現実」

そうなれば良いと思っていることと、実際にそうなることとの間には随分と大きな溝がある。心の底では、本当はそんなこと願ってやしなかった、というのとはまた違う。本当にそうなれば良いと思っていたことが実現すると、何とも変な感じがするのだ。そうして…

<244>「もうひとつの太陽を放る」

どうにもならない太陽が、黙って捨てられた。火を強制しろ、道を照らせ。照らされたその表情の上を、静かに歩く。ぼくはその遠い遠いところから来るのを控えていた。遠慮することではないさ。朝が快適だと囁く、その声は高いところを渡って、いつまでも落ち…

<243>「涙が出るほど嬉しい」

ノックアウトされたピッチャーが、ベンチに帰ってグラブを投げつける。何だよ、お前が悪いんじゃないか、怒りたいのはこっちだよ、そんなことはピッチャーが一番よく分かっている。でも、どうにもならない。何でお前が怒っているんだよと言われても、その湧…

<242>「窺い、窺われる」

窺われさえしなければ不快な気が起こらなかったのに、と思うことは多い。また、窺って不快にさせてしまうことも。以前、こういうところが欠点だと当人から打ち明けられると、そんなところ今まで気にも留めていなかったのに、なんだかそこがその人のどうしよ…

<241>「余韻を持つ身体」

余韻を長く感じられる身体が形成されていくにつれ、長時間の観賞にも堪えられるようになっていく。これにはやはり時間がかかって、個人差こそあれど、年配の人の方が長時間の観賞に比較的向いているのもこのためであるかと思われる。 というのも、綺麗さを掴…

<240>「相対的なおかしさ」

絶対的におかしな人はいない。おかしさはいつも相対的である。何かある、ちょっと変なところを見つけると、 「あの人はおかしいんだよ」 とすぐ切り捨てる(親しみを込めての「お前おかしいなあー」ではなく)人がいるが、そういうのを聞くのが嫌で、何故そ…

<239>「関係が出来始めればまずは」

何回も何回も既に見たところを通らなくていいよ、だってもう憶えているから・・・。不思議なことに、一言一句憶えていなくとも(それが為に何度も戻るのだから)、憶えていると感じるのだ。それは何を憶えたのだ? 感じか、ニュアンスか。つまり、内容を憶え…

<238>「知らないうちにここへ居て」

自分がのめっていったのは、それにのめっていくことの効用を先に知っていたからではないだろう。のめっていかない人に対し、だからその効用を説いたりするのはちぐはぐなことだし、自分がのめっている対象にもそれは失礼なことになる。そんな、これにのめる…

<237>「筋力」

格上の相手に対して接近した戦いを繰り広げ、しかしあと一歩というところで格上の相手が違いを見せつけ、踏ん張ると、さすがに気持ちが強いですねえ、そこの差がこういった場面で出てしまいます、と言う、本当にそうか? 単純に実力の差が細部で出ただけでは…

<236>「決まらない」

俺にはこれなんだ、と決めてぐいと踏み込むとき、良いか悪いかは別として、そこにはごまかしがある。では、踏み込まないで、いつまでも不決定の状態に在り、動かないでいることの中にはごまかしがないかと言えばそんなことはなく、それもそれでまたごまかし…

<235>「なに、これの少し分かってくるもの」

何ものかより大きかったり小さかったりすることによって何かが分かってくる訳でもないのだから、分かっている存在だったり、核となるものだったりを、すごく大きな(物理的に)ものに求めたり、小さなものに求めたりしてもしょうがないのだろう。地球全体を…

<234>「身体経験の重なり」

気持ちの強さ(これ自体が随分曖昧なものであるというような気がするけれど)がパフォーマンスの向上に繋がるということは確かにあるだろう。ただ、物事の結果を何でも気持ちに関係させたがる(便利で、そう片付けてしまえば分かりやすいから)こともまた多…

<233>「どこから来た」

不参加を、向うからも表明され、こちらからも表明する。おや、おかしなことになった。誰からの招待だ? 招待がなかったそうな。きょとんとするより仕方がないじゃないか。間抜けな面を曝していると、周りで怒っていた人らもつられて、主催者の方はと、不機嫌…

<232>「ミステリックぼんやり好き」

闊達だ。塞がらない帽子、夜通し、見ておやり。毎夜々々のエンジンは、ポコッ。夢の扉、開けるまでもない前掛けの、まだとくとくと注ぐばかりは、常磐道。切り離し見る峠、小屋の整列、あれ言わんこっちゃない。もんどり打って頭取の、投げ縄に引っ掛かる、…

<231>「そのまま」

事実として厳しい、あるいは厳しいところもある、これは良いとして、厳しい経験を通過したことにより、知らず知らず自分からも厳しさの方へ余計に傾いていってしまう、寄せていってしまうことがあるが、これはいけないというか、勿体ない。厳しいという感覚…

<230>「螺旋階段の肌色」

塔女房、とは申せ。不気味な谷を渡り、愛用の螺旋階段を。ひたへひたへ、おのずから忘れるところを頼むその尋常の。クリーム色に溶かされたそばで、ひとまずスケッチ、とってキャッチどのように。あやまりて引く、どこへ引くもうすべすべのそこ引く、獰猛こ…

<229>「地面は薄氷だから」

地面は薄氷なんだ。歩いている感じに拠る理解としてはそんなところだ。ところが、これがなかなか割れないから、自分が歩いているこの地面は薄氷でも何でもないのじゃないかと思わずにはいられなくなる、というより、誘惑に引きずられるという感じもないまま…

<228>「時間が矛盾する」

これをしたから当分大丈夫だ、ということは絶対にないのが難しさでありまた、異様な不思議さでもある。例えば、楽しみがあったり、何の不安もなかったり、ならば大丈夫だろうと自分も他人も思うのだが、ここにはどうにも繋がらないものがある。先に不安がな…

<227>「不自然な立ち上がり方」

評価をしようとすると、一旦自身の流れは止まり、何かをぐいと無理やりに拵え上げるような動きを身体がまた取り始める。この一連は何度経過しても、やはり不自然だと感じる。肯定している(否定じゃない)のに、何かいつも失敗した、余計なことをしたという…

<226>「骨がありません」

ここで例えば、ゆったりとした服を纏うと、骨がなくなる、というより、関節などが全てふわっとなったような感覚になり、いかようにも柔らかく動ける、腕なら腕全体が、緩やかな波を描けるようなものとして現れるのに対し(半袖だと厳しい)、身体のラインに…

<225>「部分が大きい」

次第に暑くなって来、半袖、半ズボンのような格好になるとよく思うのだが、胴体に対して、腕や足が長すぎるような感じがする。相対的に見て、背は高くないし、腕や足も、人より長いという感じでもないのだから奇妙だ。つまり主観だ。どうしようもなく長い感…

<224>「肯定と否定とケチ」

ただ放り出されているだけなのに、これは最低限しなきゃいけない、何かの為に生きなきゃいけない、それでないと価値がないと否定していくのはケチなやり方だ。放り出され、吸って吐いての運動を繰り返す存在は、他者からも自身からも近寄り難く、侵し難い、…

<223>「違う現実が少し来て」

全然その人のそのことについてガッカリしたこともないし、むしろガッカリしたなどという感想を抱くことすら忘れていたぐらいなのに、その当人から、 「知ってると思うけど、俺本当こういうところが駄目でさあ・・・」 と言われてしまうと、途端にガッカリし…

<222>「ケチな顔つき」

規則がある。それを皆が守る、が、たまに、忘れているのかあえてなのか知らないのか、そこに守れていない人というのが現れる。そういうとき、さりげない注意が添えられればそれで済むのだが、そこに留まらず、何か楽しいことを見つけたように、そういった違…

<221>「ほうけたひとひ」

絶叫が静かに吸収され、それは愉快だ。空洞が紫色に響く。誰が通るとて、その場しのぎの霧雨は、止むことを遠慮しているようで儚い。ひりひりとその皮膚が、山肌を順に渡ると、どうしようもないのだよその頃の温度が、ひとつ、ふたつ・・・。泣くのだけれど…