2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ずるいという感覚

以前、『平等』というものを書いたが、結果的に悪平等をもたらすことになろうとも、それを執拗に求める根底には、ずるいという感覚があるのだろう。平等、平等という声に参ってしまうのは、その醜悪さの為もあるが、自身の、ずるいという感覚の乏しさにも拠…

この人って一体何だ、どういう人だ。そういうことは情報が増えれば増えるほど明らかになってくる訳ではないように思う。ハッキリしてくるのは輪郭だけで、中身の理解は情報の多さと必ずしも比例しない。いや、そこを詰めればどうにか明らかになってくるはず…

固まり

まったくひと固まりになって、たれも暮らしていないことには。鈴の音を聴いたか、前後左右に揺すぶるよりは。ようやくひとりで聴いた。青く透明な線が、ゆっくりと幅を利かせているように。残らず拾うその中で、だんだんに酔いを増し、ついにはひとりも居ら…

破綻

人の性質、中でうごめくものを描くとき、どのような種類のものを集めて持って来ようが、破綻しないのであろうか。なかなかどうして、こんなに人のことが分かるのかという描写から、こんなにハチャメチャな人はあり得ないだろうという描写までいろいろに眺め…

深遠なもの

深遠なもの、深遠であるということが、いかにして分かるのか。経験の蓄積だろうか、最初から備わる感覚みたようなものだろうか。 何が分かるのか。ある意味で言ったらそれは分かっていないということになるのかもしれないが、確かに他のある意味では分かるの…

平等

ねえ、平等にしましょう。不平等よこれじゃあ・・・。平等、平等、平等。・・・この言葉が明るい響きを伴って胸に迫ってきたことが一度もない。理想とされるもの、美しいもの。しかし実際は、足を引っ張るため、誰もその小さな枠からはみ出させないようにす…

自由と自足

徹底した自由への邁進が、ともすれば破滅をもたらしかねないのと、完全に自足しきるのが難しいということとは、密接に繋がっている、もっと言えば、ほとんど同じものなのではないかとさえ思った。 頭の中でぶわあと拡がったものに対して、他者の共感が欲しい…

多数と本当

多数に浸透するだけが本当ではないのだ、ということが、多数に伝わって初めて評価される。普通の生活をすることが1番なんだよと伝えまわった人は、ごくごく特殊な生活をしていた。俺は出来なかったからという、照れのような見せかけを残して。この上もなく幸…

あれこれいろんなことは憶えている

だから、記憶力の衰えに焦っている訳ではない。そうではなくて、過ぎてしまったもの全ての、あれもこれもに重量感が無いから焦って確認したくなっているのだ。 確かにさっき自分がなしたはずのことが、今や記号になってしまっている。名前のつけられた経験、…

退歩

あんなことを進歩と呼ぶのなら、勧んで私は退歩しよう。徹底的に遅れて、もう、しばらく先端には帰ってこれないように・・・。じりじりと後ずさりするもよし、すっかり後ろへ向き直って、思いのままに駆け出すのもよしだ。 意のままの墜落。そうせざるを得な…

不穏

胸の内でぼうっと点いて、真っすぐに頭まで結ばれたかと思われる線が、急に大げさに中をかき回して、全体をおかしくしてしまうなんてことが、あるとでも言うのだろうか。 そんなこと、まるで馬鹿げている。骨という骨が残らず灰になるまで待っていても、そん…

フィナーレに向かうというより、ぶつ切り

道から次の道へ、ただ単に淡々と歩を進めているとき、何の前触れもなく、 「突然今死んだとしても、何らおかしなことはないのだ」 という考えが頭を過る。つまり、この生は何かのフィナーレに向かっているのではなく、いつとも知れぬぶつ切りの可能性を抱え…

豊饒

染み渡るまで、時間がかかる。このまま飛翔してしまえば良いのだが、豊かに拡がることは、ないだろう。裏の裏まで、内側から中側から、すっかり染みてしまうまで。 豪雨の貧弱に、落雷の侘しさに腹が立つ。カラカラに絞られた手で、そのままだらりと一群を囲…

戯れ

いつまでも、戯れの尾は引きずらる。危機から生まれ出たことに何を思う。危機そのものであった時分、その根を確認する術もなく・・・。 求めたとこから危機なのか、求めることが危機なのか。そこでしか呼吸のままならない場所、底の見えない長い下降。 戯れ…

適所

木の幹に止まっている。何の不快も感じない。心地のいい風景だ。コンクリートやタイルにいると、これでもかというほど奇妙なのに。 適所だ。適所はあるか。立っていてもおかしくないところ。違和感のない場所。そんな場所は嫌いか。居心地が良いか。どこにい…

あれ、生きてたのかな・・・?

徹底的に今を生ききった人は、自分が生きていたことにすら気が付かないままなのではないか。 「今を生きる」 というのを、無自覚に掲げてしまい過ぎているな、と考えていたら、こんなところに思いが至った。 どうしても、想起が必要になる。生きているのだ、…

悪い夢

抱き寄せた、そいつが自分だったのは悪夢か幸福か。俺がいる、ここにもあすこにも。夥しい私の顔。 俺がいる。俺の行列。ヤな面をしていやがる。どいつもこいつも俺にしか関心が無い。それはそうだ、俺しかいないのだから。 またエラくきょろきょろしていや…

平和に我慢ならない

平和は危機だ。衒いではない。すぐさま危機に転換してしまうから平和なときもうかうかしていられないとか、平和は危機の休息としてあるから、といった理由で、だから平和も大きなくくりで見れば危機だと言うのではない。平和そのものが危機なのだ。 何故とい…

体調

ああ、これはどうかすると一気に体調を崩すようなことになるな、という、いわゆる前段階にいる。 こういうとき、経験上失敗するのは両極に振れた場合、つまり、自分自身に対して過度に元気さをアピールしようとした場合と、病気の状態にあるということを真剣…

ひく

一生懸命な気持ちが伝わってくるから余計に切なくなるのだが、悲しいかな、 「もっと関心を持って! この問題に関心を持たないと駄目だよ!」 と、必死に訴えれば訴えるほど、人々の関心はそこから引いていってしまう。 興味を惹くものは、静かに構えている…

衒いのない拒絶

それで合っているのかどうかは分からないし、その行為を真似しようとは思わないが、気高さのために、食物の提供を拒絶して死んでいく動物の姿には、何とも言いようのない畏れを感じる。 その死に様が、他の死に様より優れていると思うからではない(死に方に…

誰にも必要とされない方向へ進むこと、自由

『不要論をつめていく怖さ』で書いたことに関連して、人間を必要か不要かで判断するのは、道義的な問題もあるだろうが、そもそもがナンセンスである。何故なら、つまるところ人間は、全員不要だ(必要か不要かで存在している訳ではない)からだ。絶対に必要…

死ぬかもしれない

先回りして考えた。そんな馬鹿な。顔、顔、顔。冗談だけを四隅に受け取った顔。そうだろうな、と思った。 死んだ頭で考えた。言っていたら? 死ぬかもしれないと、言っていたら・・・。 言わなかったから。そう載っていた。そんな馬鹿な。冗談だよ、という素…

過去

過去は、もうどうでもいいことである。しかし、過去は全てだ。現在というものが、跡形もなくなるほどに。 このふたつが、矛盾もなく成立すると聞いて、何を思うだろう。いや、何も思わないのだ。あまりにも当たり前だから。 全てが良質で、一番醜悪な出来事…

いつでも眠っている

最近は、まとまった時間を取って眠りたいという欲求が起こらなくなってきた。何故と言うに、いつでも眠っているような感覚にあるから。 実際に、細かく眠っては起き、眠っては起きしているのだが、なんとなく、起きている間も、睡眠の延長のような気がしてい…

欺瞞

そこまであなたの気持ちが強いのなら、あなたがいった方がいい、というのは利他だろうか欺瞞だろうか。在っても、そこまで強くはないモヤモヤとした気持ちの、はみ出た部分を丁寧に切り取り、 「それなら別にいい」 という枠へ収めるのは、欺瞞ではあろう。 …

喝采

傲慢な奴だ。祝福に応じないなんて。嘘だと言うのじゃないんだろう。嬉しくないのじゃないんだろう。ランプを小さく灯して、肩をガックリ落としたあの列へ、さあ順番に並びたまえ。赤か緑か、黄色か白か。好きな分だけ挿してやろう。 大いにあげよう、祝福を…

襟足

沈黙している。生暖かい風は吹かなかった。動いているもの、全部が残り滓だったらどうしよう。ずらーっと円を描いて座っている人の中へ、僅かに歩み出る。 一席何かぶて。そういうことらしかった。数学の講義をした。大層ウケた。億より先も知らないのに。 …

軽さが真実?

見ていてとても興味深いなあと思うのは、今まで独り身だった人間が、パートナーを見つける、特に、結婚して子どもが出来たりすると、独り身の人間に対して途端に傲慢な態度を取るようになったり、その失礼さには、舞い上がっているためか、全く気づけていな…

痒いところはそこじゃない

髪の生え際、頭頂部と側頭部が接近している箇所、左側が痒い。しかし、どうもピンポイントを捉まえて掻けていない感じがする。 指を立てて上下左右にスライドさせ、ジンとくる痒みの近辺を探る。しかしどこを探っても、隣近所に来ている感覚までしか得られな…