2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

植え込み

自転車で、そこの角を左へと曲がる。開けてきたのは、細い、何の変哲もない一本道。なだらかな、さして脚力も必要としないであろうその道が、めんどくささを象徴する道のように思えた。 反射的に、自分でもそれと気づかぬうちに避けたのか、こんもりと、しか…

1対1で会う

人と人との関係は、基本的に1対1のときが1番面白くなると思う。集団というのは、居て楽しいこともあるが、流れる空気は大体いつもと同じだし、個人のどうこうという部分が抜けた、あるいは薄まった状態にあるから、あまり興味深くはない。 対して、1対1…

「何やってんの?」という目線

遊びというものは、 「何やってんの?」 という言葉、もっと言えばそれを含む目線を向けられただけで簡単に壊れてしまう。 もっとも、遊びがその場で既に大きな力を持っている場合、あるいは、 「ここは遊びの場である」 という約束事の下に、沢山の人が集ま…

遊びと気持ち

子どもの頃は暇さえあれば遊んでいたのにもかかわらず、大人になるとあまりそこまでは遊ばなくなることに対して、 「成長に従い、あまり遊ぶ必要が無くなる」 という解釈が為されることがあるが、私はそれについて疑問を持っている。 おそらく、社会に出たと…

どうあろうと振り回されることを認める

精神の安定を得、自身のことに集中するためには、 「絶対に、他者にも環境にも振り回されないぞ!」 と頑張るのではなく、 「どうあろうと、他者や環境には振り回される」 というのを認めることが大事だ。 もう何にも誰にも振り回されないと(無謀にも)決め…

含み笑いする人

誰だかは知らない。初めて会ったのは階段だった。 「おはようございます」 挨拶を交わすと、その人はしばらく含み笑いをしていた。馬鹿にしているようでも、おかしさをこらえているようでもなかった。 その後も何度か、その人とは階段で会った。含み笑いの前…

「深く定着したこと」と「単に思い出さなくなったこと」の、表面上の区別がつきにくい

毎日のように繰り返している動きは次第に習慣となり癖となり、わざわざ思い出して確かめる必要もないぐらいに深く定着する。よって、それを忘れず毎日やっているかどうかなんてことを、だんだんに思い出しづらくもなってくる。それだけ当たり前になってしま…

意地悪な粗探しをしそうになるとき

大体自分が批評でも何でもない意地悪な粗探しをしそうになるタイミングというのは決まっている。それは、 「言うことがない」 ときだ。 それは勿論、対象があんまり素晴らしい場合もそうだし、別に良いとも悪いとも思わない場合もそうだし、 「何だこりゃ?…

「ジキルとハイド」が気になる

読んだ人も多いであろう。名作、『ジキルとハイド』。私はいままでに2回ほど読んだが、詳細は忘れてしまった。だが、いつからだろう、長いことこの作品が、ずーっと気になり続けている。それも、 「読んでいて楽しかったから」 というような気になり方では…

意味と何故

人は、意味の世界に生きている訳ではない。子どもの時代を経て、子どもの遊びを見て、そういう揺れ動く確信みたいなものを持つに至っている。 ただ、ひとつ頭に引っ掛かっているのは、 「どうして?」 「何故?」 と尋ねる子どもの姿だった。 それは、意味の…

裸は不思議だ。なんてったって裸って、基本的には台無しなのだ。骨が浮き出ているし、味気ないし。でも、誰とは限らず、裸を追い求めている。それはそれはもう、すごい勢いで。 「どこに裸があるんだー?」 という具合に。ぶわあーっと殺到する。それで、目…

気配すら嫌

不可解だ。これだけ何度も何度も何かを書き残しておきながら、何がそんなに不愉快だと言うのだ。書いている過程を見られるのが、そんなに嫌か。 見られるのが嫌なんてもんじゃあない。書いているとき、誰かが近くを動いているのを感ずることすら嫌なのだ。気…

それだけ驚いた

1カ月寝続けた。と朧気な頭で感じていた。時計を見る。5時30分。眠りに入るとき、確か3時45分だったから、実際には1時間45分しか眠っていないということだ。おかしい。日付が違っているのではないか。いや、確かに同じ日付だ。 では、どうしてそこ…

やりっぱなしでほっといてもらえるのは最高の贅沢

何かを披露すること、その全てを自己顕示欲に結びつけられてしまうことには違和感があるが、 「どうです? こうですよ?」 というコミュニケーションをしたいということには間違いがないだろう。 ただし、 「こうだ!」 と抑えきれないものをひけらかすこと…

どんどん先手を

自分の頭の中だけでぼんやりと考え、進んでどんどんやっていこうかなと思い始めていた事柄に関して、他人に、 「これ、やってくれない?」 と先手を打たれたら、あなたは何を想うだろうか。 「おっ! 何というタイミング! このタイミングで依頼してくれてあ…

無くなると困るかも

痒い。勘弁してもらいたい。痒みは集中力をごっそりと奪っていく。これでは、進むものも進まない。痒みなんてもの、無くなってくれたら良いのに・・・。 ただ、 「無くなったら困るかもな」 とも思う。進もうとしていたところを中断してくるだけなら、痒みな…

背景まで穏やかに見えている

前に一度、どこかで書いた記憶があるのだが、どうも、あまり私のことを知らない人たちには、私というものは非常に穏やかに映っているらしい。 まあ、その理由は分かる。外に出て行ったとき、別段怒る理由や不満の類が見つからないため、ほとんどの時間ぼんや…

「意味がある」も「所詮無意味」も同じこと

少し前のこと、例によって気持ちが閉じていたので、思考は、パターン化した、 「どうせ何をやっても無意味だ」 というルートを辿って行った。また、そういう本を読んで慰められてもいた。 しかし、その後気分が好転し、調子が良くなっていったことで、 「所…

豆腐屋

1番古い記憶は何か。私の頭にある断片的な記憶の数々、それを次から次へと口に出して、傍で聞いている親に順序を確認してもらったところ、それはおそらく、というより確実に、 「豆腐屋」 の記憶であるという結論に至った。 3歳ごろ、祖母に連れられて行っ…

匂い

「あっ、これは高校に通っていた時の匂いだ」 「これは小学校時代の匂いだ」 日常に、時々過去の匂いが混ざり込むことがある。具体的な、何か特定のものの匂いという訳でもないのだが、その一時期、例えば高校時代なら、高校に通っている間中ずっと、一貫し…

「肉体を制御すること」と、教えるともなく教えられている

訪れるタイミングに多少のずれこそあろうものの、大体が皆小学生時分に、 「友人を好きなのとは別に、異性が好きという気持ちが起こってくるが、その変化にあまり自分自身で気づけていない」 という一瞬間を経験しているものと思う。 今思い返すと、恥ずかし…

本気と意味

スタジアムを取り巻くぶわあーっという歓声に呼応し、下から順に身体の皮膚がひっくり返っていくような感覚に襲われ、まるで揺れに耐えきれなかったかのように、右目からさーっと涙がこぼれていく。 「これはなんだ・・・」 落ち着いてのち、ふと冷静な疑問…

幼稚

おさないこと。年が少ないこと。子供であること。十分に成長していないこと。未熟。岩波国語辞典第二版にはそう書いてある。 「だから何だ」 あなたは今、私の言っていることが幼稚だと、そう仰ったでしょう? それで、幼稚だとどうだと言うのでしょう? そ…

知ってるよ

知ってるよ、あなたは知ってるよ。 「皆から拒絶されている」 とうそぶき、その実自分の方が、目でもってハッキリと拒絶の意思を示していること。 街中で、そういう目をした人間たちとすれ違うだろう? そのときあなたは、 「おんなじ目をしている」 と思っ…

使用の発想

よく、親が子どもを殺したなどというニュースが流れると、 「何故可愛いわが子を・・・」 などという声が上がるが、それは親が、 「使用の発想」 に立っていたのだと考えれば、別に不思議とも何とも思われなくなってくる。 例えば、私などは、子どもを迎え入…

存在の仕方からして必然

何か虚しい・・・この虚しさを取り囲む現状は・・・ではこの現状を打破すれば良いのでは・・・と、なるべく虚しさに包まれないよう、外部条件を引きつける。 このようにして動くことは事実慰みをもたらすし、またそれに加えて、これら一連の動きによって得ら…

閉じることも同時に願っている

生存本能という言葉が示すように、生き物は一生懸命に、死をもたらしてきそうなものから遠ざかろうとしている。ただ、それと同時に、消滅したいという願望も持っていて、それは本能と呼んでも良い程度には強いのではないかとも思っている。 矛盾するようだが…

脅し得たとて

腕力、体格、圧倒的な年齢差を前に、脅されるがままに脅されたひとりの少年の許、すうーっと女が立ち現われたのやらどうやら。 とにかくにも、少年の耳にはぼんやりとした音声が響き渡った。 「いいですか、脅されて怖かったことでしょう。そうしてだんだん…

決定しないといけないのでしょうか

関係の決まらない、曖昧な、ついても離れても良いような状態がずっと続くことを望んでも、その時間、混沌とした時間が長くなればなるほど、決定しろという要請が、どこからともなくやってくる。 「決定しないとダメでしょうか?」 「意気地がない」 決まらな…

問題があるように見られるだろうからさ

「そのことに、一体何の問題があるって言うんだい?」 「いや、別に問題はない」 「なら、良いじゃないか。何でそんなに不安そうな顔をしているんだ?」 「いや、問題はない、問題はないよ。でも他の人はそう思わないだろうなあ・・・って」 「問題があるよ…