<3164☆>「所感(3)および所信表明」

 どこから、何から語り始めたらいいだろう。

 

 先日、2024年の11月18日。

 私は、人生における大きな目標。自分との約束を果たした。

 

 「毎日、休まずに文章を書く。それを10年続ける」

 

 そうすれば、あなたはもう、100%一丁前になる。それは俺が保証する、と吉本さんは言った。

 

 10年前、私は、仕事も、恋愛も結婚も、遊びも、勉強も、死ぬことも、なにもかもしたくなかった。

 

 当然のことながら、この先どうしたらよいかが、全く見えていない状況だった。

 

 そんなとき、吉本さんと出会った。吉本さんの、命をかけた言葉に出合った。

 

 「だから、自分だけが決めたことでも何でもいいから、ちょっとでも長所があると思ったら、それを毎日、一〇年続けて、それで一丁前にならなかったら、この素っ首、差し上げるよって言えるような気がしますね。」(『悪人正機』p176)

 

 何もしたくなくても、書くことが好きだった私は、10年前の2014年、

「よし、吉本さんはもう死んでいるけれど、俺はこの人の首を取りに行くつもりでこれから10年、毎日、物を書いて生きよう。何もやりたいことがないんだったら、ちょうどいい、せめて何かこの世に生きた証を残そう」

と決めて、今日只今まで生きてきた。

 

 本当に達成してしまった。

 

 

 吉本さんは、100%一丁前になる、と言ったけど、それがどういう意味なのか、達成したばかりなので、全貌はまだ分からない。きっとこれから如実に表れてくるのだと思う。

 

 それより今は、

「自分という人間は、自分との約束を守れるということ」

「一番尊敬している人と、命のやり取りを10年も続けられたことが、とても幸福なことであるということ」

「10年間毎日休まず出来たということ自体が、とても幸運なことであるということ(怪我や大きな病気、突然死などに見舞われない10年を過ごせたということなのだから)」

を強く感じている。

 

 もう、不幸なフリも、運のないフリも、可哀想なフリも、全く通用しなくなるぐらいに、私には力がある。

 

 私は強運の持ち主である。

 

 私は恵まれすぎているぐらいに恵まれている。

 

 そういうことを思った。

 

 

 そうしたらもう、社会に対して閉じているのもおしまいだし、社会を拒絶するための方法として性愛の放棄や、自己の放棄をしているのもおしまい。これでおしまい。

 

 それをここに宣言する。

 

 やみくもに性を乱していく必要はないけれど、社会拒否の材料として性を使わない。反対に開けていく。求めていく。受け容れていく。

 

 おしゃれをする。格好をつけていく。それは自分を生き延びさせるために。

 自分を見捨てている状況を、終わりにするために。

 

 これもまた命懸けの行為である。

 

 

 自信などというものが、一体全体どこから湧いてくるのか。

 それがずっと分からなかった。

 

 毎日、自分が決めたことを淡々とやる。

 私の場合、その繰り返しのもとに生まれてくるのが自信だったのだな。

 10年本当に経ってみてそれは初めて分かったことだった。

 自信って、こうやって作るものなんだ。

 

 

 私は、この10年の過ごし方、命を懸けた過ごし方のプランを、家族にも、仲の良い友達にも、誰にも、一度も言わなかった。

 言ってしまったうえで、達成まで持っていく自信が、私にはなかったからだ。

 言ったら叶わなくなる気がする。出来なくなる気がする。そう思っていたからだ。

 

 だから今は、何か悪いことを隠していた訳ではないのだけれど、

「ああ、もう家族にも仲の良い友達にも、この10年間、私が何を一番に考えていたのか、それを言ってもいいんだな、もう達成したんだものな」

と思えて、結構身体が楽になっている。

 

 もう、隠さなくていいんだ。

 

 

 さて、最後に所信表明を。

 

 

 一丁前になった。これは、吉本さんのお墨付きだ。

 

 私はもうアマチュアではない。プロだ。

 

 では、プロになって、どうする。

 

 

 私は、世界一の詩人になりたいと思っている。

 

 いや、世界一の詩人になる。

 

 それは、この10年を経ての、生涯にわたる目標だ。

 

 

 何故、この目標設定なのか。

 

 無用な追い込まれ方をするという、これは美学だ。

 

 

 これは、談志師匠から学んだ姿勢だ。

 

 談志師匠は、俺が一番上手いと言う人だった。

 

 これが何故すごいか。何故美学か。

 

 そんなことを、言う必要がないからだ。

 

 落語は芸能の世界。客観的な一番など決まらない。

 お客さんそれぞれの心の中に、俺にとっての一番が、無数にある世界。

 

 そういう世界に居て、自分はまだまだです、精進します、と謙虚に言って芸を磨いている人たちに、落ち度は一切ない。全くもって正しい姿勢だ。

 

 そんな世界で、俺が一番上手いと言うこと。

 それは、端的に間違いでもあるし、的外れだし、馬鹿げた発言でもある。

 無用な追い込まれなのだ。

 

 でも、それを言わずにはおれない。それを言わないで、正しく謙虚にしている、なんてことが出来ない。

 そこに、談志師匠のどうしようもない芯がある。

 

 そこに、生きる姿勢がある。

 

 私はそれを、格好いいと思う人間だ。

 

 一番になる、いや、一番だと言い切ってしまう人間は、大馬鹿者でしかない領域で、俺が一番だと言い切って生きる姿。

 

 私はそれを学んできた。

 

 だから、私も、生涯の目標を、世界一の詩人になる、というところに据える。

 

 そんなこと、言う必要もないし、目指す必要もないし、目標設定として途方もないし、目標にしては曖昧に過ぎるし、第一、詩というのはそういう物言いとは食い合わせが悪い世界だし・・・。

 

 だから、私は、世界一の詩人になると言っている。

 

 それは、大馬鹿者として今後の人生を生きていくという、決意表明である。

 

 

 

 はっきり言って、照れている場合ではないのである。

 

 やめてくれやい、詩人なんて呼んでくれるなやい、と言って、照れてて良いのは、頂点に到達した本物だけである。

 爆笑の太田さんもよく、たけしさんを引き合いに出して言ってますよね。

 

 

 普通の、頭のおかしい人間は、照れている場合ではない。

 世界一になると、目を据えながら言うしかない。

 

 

 そういうことで、終わりたいと思います。

 

 いや、始まりたいと思います。

 

 どうぞ、よろしくお願いします。

 

 これが書けて良かった。書ける日がきて良かった。

 

 ここに来るまでは、絶対に死ねねえぞと思ってたから。

 

 良かった。良かった。

<3163>「ものかたい、ものよごれていく」

 あたしのたいの、

 ものかたいくつの、、

 もの次第に、

 ものふれまわる、、

 もの時代のなかにあって、、

 なぜかかたまる、、

 なぜかふたつの時刻を数えている、、

 あなたにはその、

 しずかなともしび、、

 しずかな気体、

 あたしはゆびを出し、

 からだにきける、、

 からだから順に動けて、、

 あなたへとつながる、、

 あなたにはもう、

 ひとつが見えて、

 ひとつが分かれ、、

 なかへ誘い出す、、

 

 なかへちらばり、

 ものどこか見えても、、

 それらしらない、

 それらどこへでも、、

 どこからでも集まり、

 私はかなう、、

 私は攻撃、

 ものの見事なさがり、

 さわってよ、、

 少しずつ近く、、

 少しずつあたたまりつつある、、

 なんだ、

 ゆっくり入って、

 ゆっくりもの見つめて、、

 足元がふらつくよ、、

 自分で知っていたこと、

 確かめて、

 あとへあとへ続く、、

 あとへつくられた、、

 この姿この形、

 このはだこの動き、

 あてもなくゆく、

 あてもなく生まれる、、

 

 水ごとここにころげて、

 ころげてしまいまで、、

 続くものごとのかけらのなか、

 まだはけるうたのなか、、

 うたから遠方、

 よごれていくもの、

 気体のなか、

 うごきのなか、、

 ものつながり、

 ものからだになり、

 うごく時期に、

 あなたも立っている、、

 はっきりと見えている・・・

<3162>「一点一歩」

 笑わすと、、

 なかのあみから、

 少しずつ時刻が、、

 あるあたりまえのもののさばき、

 そのさばきのなかに、

 順に入る、

 順にまぎる、、

 あら少し見つめている、

 それはあたたかい、、

 それはかたりあい、

 もののゆく姿、、

 ものから一点、、

 一点を生みながら、、

 少し混ぜ合い、、

 混ざるもの全て、、

 どのように見て、

 どのように想像しても、、

 はっきりとはしない、

 はっきりとは言わない、、

 

 はだからそこへ、

 そこからかぜあつめ、、

 あつめようにより、

 からだの細部、、

 どこか浮かんだまま、

 順当に確かめえるのを、、

 私は見ていた、、

 私は見ているまま、

 どこから過ぎて、、

 過ぎたらそばにくる、、

 そばからおりて、、

 まだ訳もなく、

 この地平を見ているのの、

 あの状況を、、

 見つめる姿から、、

 あたしは想像し、、

 すくなくたまってき、、

 たまったままになるもの、

 予想のなかがわ、、

 隙間から触れ得るものに、、

 あたしはなってきた、、

 なったまま走る、、

 走ったままさがす、、

 さがしてさがして、、

 私は一歩になってきた、、

 私は眠りになってきた、

 

 水のたかくなるところへ、

 そっと姿を置き、、

 置いたままでたのしむ、、

 僅かに使い合わせて、

 その作業を楽しむの、、

 じっと見ているの、

 まだ分からなくも、

 ありながら私、、

 じっとそばにいるのよ・・・

<3161>「声の隙間、」

 声の隙間、

 あたしから染みて、、

 また言う隙間、、

 したら試みる、、

 したら身体どこか、

 放ったままにしておいて、

 ゆっくり見る、、

 ゆっくり声かける、、

 あたらしい日にち、、

 よく集まって、

 よくはなし、、

 よく転げたあと、

 どこへ用意されてある、、

 どこへつまみ、

 どこへつながる、、

 私のからだの底、

 順番に声かけよう、、

 順番にからだの底、、

 ものはまとまる、

 ものはいつも揺らぐ、、

 

 揺らぐまたのは、、

 からだいくつにも、

 いくつにもきこえ、、

 さんざばら過ぎて、

 過ぎて楽しむ、、

 楽しみから先、、

 先からあつめえて、、

 あつまるひとつの時代、、

 時代から裂かれて、、

 裂かれるまま、、

 まだ呼吸も通じず、、

 次から次、

 次から次と、、

 私は先を待っている、、

 少し爆発する、

 少しおそれる、、

 少しまきこまれている、、

 少しかたまって、、

 

 あなたの時間の先に、

 まだはっきりとは見えないものの、

 十分に含まれてやまないはずなのが、、

 ゆっくり来る、、

 ゆっくり確認できる、、

 今、

 しずかな風景にいちにん、、

 まだ訳も分からず、

 来ているようなところへ、、

 あなたは入っていく、、

 機会へ集まって、

 ゆっくりとすごす、

 ゆっくりとふくらみ、

 あなたにかえしていく、、

 こえのはじまり、

 こえの隙間に・・・

<3160>「ヒ、水、かろやか」

 おう、

 なにかが少し、

 絡み出すと、、

 私はそこの、

 しずかな時間ばかり引きずる、、

 順に見て、

 転げまわるばかり、、

 あたしは訊く、、

 どこへふくまれるのがいい、

 ながいながい記憶、、

 もっとあつまり、

 もっと集中しながら、

 あなたはここに、、

 あなたは存分に、

 この道のなか、

 このふたつのなかを、、

 しずかに絡んでゆく、

 

 ねえふたつのかたまり、、

 ねえ複雑な、

 からだを置くいくつものこと、

 いくつもの出会い、

 いくつもの日がさわぐ、、

 いくつもことばかたり、

 ことばかたち、、

 もの少し眺め、、

 もの少し珍しい、、

 しずかに裂け、

 しずかに泡がきて、、

 あたまのなかのこと、

 あたしにきかれている、、

 きこえがそのままで、

 そのままふたつにきて、、

 ふくれていて、

 あたしなにのあいだ、、

 なにの種類、、

 求めてはしずか、

 しずかかたりきり、、

 かたりあうヒ、

 あたりまえの水、

 水のあうヒ、、

 ヒから照る、、

 わずかな成分、、

 わずかな時間、

 あたしがいつも、

 回転を見ているの、、

 少しそこに並んで、

 

 かろやかな住まい、

 かろやかな時間、、

 なぜか遠く、

 なぜか近く、、

 ここで見事にもちこまれ、

 あなたはフェストゥム、

 わたしはフェストゥム、、

 どんどん来て、

 どんどん来て・・・

<3159>「血、問う、音、問う」

 かたちまわる、、

 幾分の血、

 幾分の消しかけ、、

 命の蓋、、

 あいだからながれ、まわる、、

 ひとみの者たち、

 ひとみにかける者たち、

 あたまを剥ぐ者たち、

 言葉なかに集う者たち、

 からだ立ちはじめ、

 からだ流れろ、、

 あちらへ揺れ、

 こちらへ揺れ、しろ、、

 気温をかけ、、

 からだまわせ、、

 からだ遠くに行っていろ、、

 ものにつくられていろ、

 

 あたしに合う形、、

 次々にながれ、

 そのまま食う、

 そのまま言葉に食う、、

 からだまどう、、

 まどうものから、、

 どこぞ、

 どこぞへあなたあたりまえに、

 あたりながら生まれろ、、

 恵まれた時間、、

 恵まれた日々、、

 感動の行き来しかない、

 感動の、行き来でしかない、、

 ほらそこのほうけ、、

 あたしはさみしい、

 あたしは少しずつふくれる、、

 かなたへ戻り、、

 次々にそばへ、

 次々になかへ、

 次々に外へ、

 あつめたまま、

 あつめたばかりのまま、、

 はだ、いれかえた、、

 いれかえて外へ来た、、

 外へ来るまま、、

 かたちはたらいていた、、

 かたちなかへ来た、

 ものごとの最中へ、

 ものごとをよく分かれさせていて、、

 かたち最中へ、

 かたちくねり、、

 ははのはだのヒ、、

 はだかのはだのヒ、

 見つめながら、

 

 音、実を問う、

 からだ、少し問う、

 しずかに問う・・・

<3158>「手、かたち」

 あたらしいヒに、

 わずかふるえ、

 わずか見て、

 ものは見事、、

 ものともる、、

 もの少し通る、、

 あたしの視界の、

 すでにはれたところから、、

 少しヒが、

 少しもぐりこんできている、、

 少しかいたいして、

 少しふくらむ、、

 あなたあそこ、

 あそこ少しからだの水、

 からだ取って、

 取って投げて、、

 少し水そこらへんに散らばる、、

 

 水そこの時刻、

 水こそ生まれもしなく、、

 ただかたまり、、

 ただ時間の中、、

 ただの過ぎ来、、

 ただのからだに、、

 複数用意されている、

 あなたは極端に、、

 転がり転がり、、

 転がりながらすむ、、

 すこしのヒのふくれ、

 ふくらんだ記憶の外、、

 記憶からまっすぐに、

 かえってはながれ、

 ながれては少なく、、

 かたちのひみつ、

 かたちに生まれ、

 かたちただすごく眠たい、、

 かなたへ、

 かかわりのなかへ、、

 あたしが溶けて、、

 ヒの使われるなか、、

 ヒのかたちにすすむなか、、

 あなたの細部、、

 あなたの握る手、、

 手のなか、

 手のなかあぶら、、

 手のかたちなかすくない、、

 なか生きて、

 なか住んで、、

 

 おなかなど少し、、

 まだ少し見せて、

 まだ少し深い、、

 あなたはまだ深い、

 みずが、少し、おりていく、

 みずが、少し、のびていく、、

 どこへどこへ・・・